だらだら、と。
流れ出る命を見るのが面白い。
「――あはっ」
自分の命が床を滑る。受け入れられずにただ流れる。 それを見るのが面白い。

「床を汚さないでくれないかい?」
「ん?」
赤い命が黒い靴にぶつかりその場に溜まる。それに関し別段思う事などなく、声の方に目を向ければ、変わらず赤いものを見れた。
「おはよっ、ゼノちゃん!真っ赤な瞳が綺麗だねっ!」
「おはよう。赤い目が多い此処で、それは褒め言葉にもならないよ」
「あー、確かに多いかもっ?」
「そうだよ。だからこれ以上此処を赤くしないでほしいな」
「あはっ」
「笑って誤魔化せるなんて思わないでね。有り体な言葉で悪いけどね、口よりも手を動かさないか」
「――うーん、じゃあ、ゼノちゃんは表情を動かそう?笑ってるのが逆に変だよ、ここは怒って言うところだね」
「…そうだったっけ?」
初見から常々思ってはいたが、この男は顔面の筋肉が固まっているのではないか。それはもう、針金を入れているかの如くに。
そう疑う事がよく有るままに月日は過ぎたが、正直なところ、貼り付けたような笑みには親近感がまるで湧かない。
気味の悪い顔だ。
「そうだよっ」
「ふぅん…以後気を」
ごっ、――骨が固い床にぶつかる音がした。否、させた。
「これで怒れるねっ」
いい様だ。好かぬ顔がこれで見えない。床に叩きつけてやれば、もう後頭部しか見えはしない。素晴らしい。
「この、糞アマ――!!」
「そうっ、それ!」
言ったところで、上向いた顔の口元には、未だ吊った笑みが残っているけれど。睨んでくる迫力も恐怖を思い出すには幾分弱い。
「っ、…まぁ、いいや。ありがとう。老化かな、そろそろ昔が思い出せなくて、表情も上手くいかないんだよ」
ふらつきながら立ち上がった足元にボタボタと音をたてて血が滴り落ちる。先に在った血と混ざり、床を汚す。
「…鼻血出た。鼻の骨折れてるよ、これ――」
「これ以上此処を――何だっけ?」
わざとに惚けた声を出している事など解っているのだろう、お互いそこまでバカではない。
「赤くするな、だね。…俺も掃除、手伝うよ」
それでも律儀に返事をする友人にかける言葉は謝罪ではなく、「ありがとう!」という感謝のみ。
それに対する返事も礼に及ぶ事ではないという旨を伝えるだけの冷めた社交辞令のような言葉であり、
何事もなかったかのように振る舞うそれは許容というより無関心に近く、酷く不気味だった。

「ねぇ、ゼノちゃん」
「何だい?」
「ゼノちゃんは可哀想な生き物なんだね」



(この子は怒る事がもうできない)(何に対して謝れと?)

「確認しないと安心できない、目しか信じない君程じゃないよ」
「周りと自分を比べて勝手に落ちてる、根暗チキンに言われたくないよ!」

お互い、心と共に何かが欠けたらしい。





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テヴクシアも中々に性格が悪い笑 ゼノ程ではないけれども

にしても私の文は説明文臭くて読みにくいな(´・ω・)
基本、私が汚い女性好きだからテヴクシアも汚い。好み入るなぁ
汚いって…何か、あの。生き汚い、みたいな意味です。んー、説明難しいな(;´д`)誇りはあるけど、みたいな…?
よし、バージンよりビッチ、くらいな意味って事でもういいや←
いきなり投げられて床とキスさせられたゼノ涙目w